ニトリの都心部への出店状況の考察

2017.04.07 投稿

斎藤 隼人コンサルタント

 

ホームセンター業界の近年、市場規模は伸び悩んでいる中、

ニトリは30期連続増収増益と一人勝ちの状況である。

ニトリはこれまでの敷地面積を広く確保した郊外立地とは異なる立地のへ

出店を加速させている。

2015年に出店したプランタン銀座を皮切りに、

上野マルイやタカシマヤタイムズスクエアといった都心部の商業施設内への出店を進めている。

今回はニトリがなぜ都心部の出店を進めているのかの背景を考察した。

 

1つ目はエリアによって最適なビジネスモデルに変化させることで、

新たな需要の取り込みにチャレンジしてる点である。

ホームセンターといえば、広大な敷地に幅広い商品を置くことで、

ファミリー層や専門業者をターゲットとし、車で来店する利用者を

ターゲットとした店舗作りや出店が中心となっているが、

「車を持たないお客さんから都心に出して欲しいとの要望を受けた」という

消費者のニーズに応えるために、車でなくても来店できる利便性の高い駅前の

商業施設内という立地へ戦略的に出店していることがわかる。

東京都は全国の中でも最も人口が集中しているエリアであるが、

1人あたりの自動車保有台数は全国で最も低く、

生活の移動手段としては公共交通機関が中心である。

そのため、車での来店がメインであるビジネスモデルの

ホームセンターは積極的に出店できなかった。

ホームセンター1店舗あたり人口を見ても東京都が最も多いため、そのことが推測される。

 

今回のニトリの出店を見ると、駅前の商業施設へ出店しており、

駅からアクセスしやすく、利便性の高い立地へ出店していることが

都心部の出店に共通している点であるため、従来のビジネスモデルを捨て、

都心部の性質に合わせたビジネスモデルにチャレンジしてるといえる。

また、都心部では広大な敷地を確保することが

難しいことも出店ができなかった要因の一つであると考えられるが、

上野マルイ店は1000㎡の店舗面積とこれまでなかった店舗の大きさで出店をしている。

そのため、商品数も約4,300アイテムと通常の郊外の店舗よりも絞り込んでいる。

商品構成も家具の構成比も通常40〜50%のところ、上野マルイ店は家具を20%と減らし、

インテリアや小物といったホームファッションが面積を約80%としており、

店舗の中をみてもこれまでとは違ったニトリを演出している。

都心部への出店を成功させるために、都市部の特性に合わせ、

ビジネスモデルをエリアに合った形に変化させることで

立地選定や店舗作りを行っていることが、ニトリが成功している要因であると考える。

 

2つ目は、別の観点で都心部の出店を見てみると、海外事業の戦略も踏まえているように見える。

ニトリの中長期の事業計画では「2032年に3000店舗・売上3兆円」という

経営戦略を発表しているが、その中でも特に海外事業の黒字化や事業領域の拡大など、

海外展開を積極的に進めていく方針である。

しかし、現状では海外にはAKIホームの屋号で5店舗展開しているが厳しい状況である。

今回の都心部への出店傾向は、新宿、銀座、浅草と

訪日外国人が訪問した場所の比率のランキングと一致している。

そのころから、都心部に出店することのもう1つの目的として、

訪日外国人に対してニトリブランドを知ってもらうことにより、

今後の海外での認知度を向上させることで、

海外事業の展開をよりスピーディーに効率よく進めていくための布石であるともみえる。

海外事業の戦略を日本の出店戦略にも絡めることで、

都心部への出店効果を最大限発揮させている。

浅草の次に訪日外国人の訪問率が高いのは秋葉原、渋谷、東京駅周辺と続いていくため、

次の出店はそのエリアになる可能性は大いに考えられる。

 

今回のニトリの出店戦略から、

都心部の特性エリアに合わせたビジネスモデルに変化させることにより、

これまでとは違った形で新たな需要を取り込むことで、

出店エリアを拡大させ、3000店の出店を実現させようとしており、

変化に対応できることがニトリの成長の根幹であるといえる。

また、それに合わせて経営戦略である海外事業の成功のための

戦略の一つとしても兼ね備えていることがニトリの強さであるといえる。

今後も様々なチャレンジしていくであろうニトリに目が離せない。

 

 

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